ただじっと待つ
私が東京に住み続ける理由は2つある。
桜と紅葉が見られること。
見たいアートが見られること。
生まれ育った沖縄では、この2つを見ることが難しかった。
沖縄の桜は1月に咲くし綺麗だけれども、
桜の品種が違う本州のふわふわタップリな桜が見たかった。
教科書で見るような絵画が日本に来日する際も
NHKで展覧会の紹介を映像で見るしかなかった。
見たくても、簡単には海を渡ることができない。
それが子ども心にとても悲しかった。
学生時代から、死ぬまでに見たい画家の絵があると言い続けてきた。
カラヴァッジョ、クリムト、ミュシャ、レンブラント、ダリ。。。
幸せなことに東京に住み始めてから、
見たかった画家の絵をすべて見る事ができた。
あとはクリムトの『接吻』を見に、ウィーンに行くだけだ。
そして、コロナ禍になった。
1年以上、アート作品を見る事が出来ていない。
楽しみにしていたけれどコロナの影響で延期されていた
カラヴァッジョの《キリストの埋葬》展が正式に中止になった。
悲しい。
けれど、人が死んでいくよりはいい。
命より大事なものなんてない。ぬちどぅたからさぁ。
3か月後には桜は咲くし、10ヶ月後には紅葉が見られる。
今はそれをただ待つ。